決勝のドラマ。これを知れば必ず感動できる。リオ・オリンピック 400m個人メドレーを見逃すな
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- 1 決勝結果
- 1.1 荻野 金 4分6秒05(カリッシュと最後は体半分程度の差。日本記録を更新して、これだけの素晴らしい泳ぎをして、漸く金。オリンピックはすごいな。)
- 1.2 カリッシュ 銀 4分6秒75 (自己ベストを本番で3秒縮めている。強すぎる。平泳ぎとクロールの速さは驚異的で、この2種目だけで競ったら、萩原も勝てないと思われる。ポテンシャルの高く、フェルプスとロクテを継ぐアメリカ人スイマーであることを証明した。)
- 1.3 瀬戸 銅 4分9秒71(でも笑顔でよかった。予選より一秒遅い。若いから、まだ東京オリンピックも次の200mバタも狙えることでこれは彼の途中経過だから) 「自分は萩原がいなかったら中途半端な選手で終わっていた。」 泣かせるセリフをいう選手だ。
決勝結果
緊張感が映像から伝わってくる。カリッシュにも強い選手特有のオーラがある。(レース見たら、えーこんなに強いの。本番で3秒縮めた。)
カリッシュ 平泳ぎ強すぎ。
荻野 金 4分6秒05(カリッシュと最後は体半分程度の差。日本記録を更新して、これだけの素晴らしい泳ぎをして、漸く金。オリンピックはすごいな。)
カリッシュ 銀 4分6秒75 (自己ベストを本番で3秒縮めている。強すぎる。平泳ぎとクロールの速さは驚異的で、この2種目だけで競ったら、萩原も勝てないと思われる。ポテンシャルの高く、フェルプスとロクテを継ぐアメリカ人スイマーであることを証明した。)
瀬戸 銅 4分9秒71(でも笑顔でよかった。予選より一秒遅い。若いから、まだ東京オリンピックも次の200mバタも狙えることでこれは彼の途中経過だから) 「自分は萩原がいなかったら中途半端な選手で終わっていた。」 泣かせるセリフをいう選手だ。
表彰式で、3人のメダリストとも喜んでいるのが何よりだった。萩原、瀬戸が170cm台なのに、カリッシュ190cm台、かなりの体格差ということが表彰式で並ぶとよくわかる。
日本人で190cm以上でボディーバランスもよくて運動神経もよい人はまずめったにいない。ところが世界では190cm以上で運動神経もボディーバランスも完璧な選手がでてくる。
日本人がこの種目で優勝するのは初のことで、それは、それは特別なことなのです。めでたしめでたし。
予選結果
予選のベスト3は世界ランクのベスト3通りこの3人となった。この3人でメダルを分け合うことになる。
予選 3組 萩野 4分10秒 正確で余裕のある泳ぎで他を圧倒 かなり余裕をもって泳いでいる。競り合う相手がいない予選で、余力残しまくり。
予選 4組 瀬戸 4分8秒47 最後流した。決勝までに修正ポイント見つかった。平泳ぎをもっと力入れられる。楽しくてしょうがない。このプールが今まで一番自分にあっているとのこと。
予選 4組 カリッシュ 4分8秒12 平泳ぎで瀬戸に追いつきかける。クロールで抜いた。彼も多少余力があるように見えた。前半抑えていたようにも見える。
荻野は、すごく余裕あって4分10秒はまだ想定できたが、
瀬戸とカリッシュは多少余裕を持って、今季のこれまでの400m男子個人メドレーのベストタイムより速い!(下表参照)
決勝は高速水着で作られたフェルプスの世界記録4分3秒84レベルの戦いになるのではないだろうか?
特筆すべきは、この大舞台で、荻野も瀬戸も、プレッシャーどころか、ワクワクして、嬉しくてしょうがない気持ちが画面からビンビンに伝わってくることです。
この大舞台で、ベストのコンディションで、競えることを魂が迸ることを止められないほど喜んでいるのが伝わってきました。
さらに、その状態で喜んでニコニコしながら 「決勝までの修正ポイントもはっきりわかりました。」と話すのです。
競泳の歴史に残るレースになるでしょう。
試合までの熱くて切ないストーリー
リオデジャネイロオリンピックの競泳400m個人メドレーは、
萩野公介、瀬戸大也の金メダル、銀メダルも期待できる種目です。
放映時間は6日深夜(7日午前1時)7日10時詳しくはリンク先へ
今季の記録ランキングでは下表のように、荻野が1位、瀬戸が3位となっています。
400m個人メドレーは激戦種目であり、日本人のオリンピックでのメダルは非常に困難と思われてきました。
ところが、前回のロンドンオリンピックで、荻野は高校生にして、世界の強豪と堂々と戦い銅メダルをとりました。
それをテレビで見て、再度水泳に挑もうと決心したのが、瀬戸です。
瀬戸は、ロンドンオリンピックの代表を僅かな差で逃し(日本の代表選考基準はとても厳しい)、
悔しくて涙を流す姿までユーチューブにアップされていました。
半ばやけになって遊びほうけているときに、ライバルの荻野がオリンピックで活躍する姿を見て
、また水泳をやろうと彼は決心したのです。
2人は、小学校時代から既に競っていました。でも、荻野が強い。瀬戸は弱気になってもおかしくない状況でした。
それが、中学生の時に、瀬戸が荻野に勝てたレースがありました。それから、2人は明確にお互いをライバルとして認識します。
瀬戸も頑張れば、自分もこの天才スイマーに勝てることがあると、明確に意識できたことでしょう。
この2人が同時期に同年齢で日本に存在し切磋琢磨したことが、
オリンピックで1番、2番を同時にとってもおかしくないほどの実力を持つことに大きく作用しています。
さて、以下の表を、上位7位までで結構ですので、さらっとご覧になってください。
“2016年400m個人メドレー世界ランキング https://swimswam.com より”
2位に”Chase Kalisz” (カリッシュ)という22歳のアメリカ人が荻野、瀬戸の記録の間に入っています。
アメリカのオリンピック代表選考会では、彼が選ばれたことより、ライアンロクテという、世界でおそらく
マイケルフェルプスの次に有名で、女性にモテることでも超有名なスイマーが負けて選ばれなかったことの
ほうが大きなニュースとして騒がれていました。それだけ、ロクテは有名で、Chaseは一般には
知られていないのです。
上のランキング表をみると、代表落ちしたロクテのタイムも今季世界7位なのです。
瀬戸は、奮起して着々と結果を出してきました。
ところが昨年、荻野は腕を骨折してしまいます。
瀬戸としては、自分がベストなだけでなく、荻野もベストの状態で最高のレースをできることを
心から望んでいることが、インタビューから伝わってきますが、それは長いことかなっていません。
幸い荻野は順調に回復して、今回オリンピックに出場することができましたが、
腕の骨折により、背泳ぎで以前のように、キャッチポイントを遠くにとれず、背泳ぎが以前と変わっています。
荻野は、あの北島も育てた、名コーチ中の名コーチの平井コーチ(彼の本を読むと、どれだけ選手の
パフォーマンスを上げることに高い知性で全力を傾けているかがわかります。例えば弱気な選手には試合前に
どんなタイミングで、どんな言葉をかけてあげるかまで、考え尽くして行っていることがわかります。)
のもとでトレーニングしていることもあって、平泳ぎを以前より改善して、今や平泳ぎも単独でも
戦えるレベルに上げてきたことで、背泳ぎの微調整分は補うことができているようです。
そして、瀬戸は、インタビューを見る限り、彼の一番ののぞみは、
ともかく、荻野と最高のレースをオリンピックの舞台でして、
他の誰も、近寄らせたくないかのようにすら聞こえます。
しかし記録から見る限り、ランキング2位のCHAZEがいるのでそれは簡単にできるとは思えません。
瀬戸は、カカトに強い痛みを覚えて、周囲とも相談して熟慮の末、手術をして、
痛みの元となっている無駄な骨を除去しました。
手術による悪影響も懸念されましたが、意外なことに、足首の柔軟性が高まったことで
ドルフィンキックの効率を以前より上げることができ、バタフライで全面投影面積を
より少なく、抵抗を少くする泳ぎに変更することで、改良できてきています。
ドルフィンキックの際に、膝をあまり曲げすぎずにキックすることで身体の流線型の
維持を以前より意識しています。
ランキング4位には、ジェイ・リザーランドというまだ20歳のアメリカ代表選手がいます。
この選手はお母さんが日本人で関西弁も話すそうですが、のりがいいらしいです。
そしてこの若さで、一発いってやれという感じでくるでしょう。
記録から見ても、メンタルの強さから見ても、荻野が最有力の優勝候補ですが、
どんなレースになるか、大きなドラマを盛り上げる選手が揃っているレースです。
私は、瀬戸選手のファンになりました。彼は、心に弱い部分もありながら、
精一杯頑張っていることが伝わってくるところがたまりません。
彼らが青春をかけて、命懸けのハードなトレーニングをしてきたレースの結果は、
7日の午前中には出ます。(これを書いている今の24時間後にはもう結果が出てます。)
そこにアメリカ選手は楔を打ってくるのか。
どんな結果が出ても、水泳を好きでいられますように。
4種目人類最速を競える世界を経験できるのだから。
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