映画 海賊とよばれた男 小説含め あらすじ感想 評価 モデルの出光と比較
簡単なあらすじ
出光興産の創業者 出光佐三の生涯がモデルの物語
映画、小説とも第一章が第二次世界大戦の終わりから始まって、第二章で青春時代に戻ることで盛り上げていってますが、ここでは出光佐三の人生の時間軸に沿って書きます。
国岡鐵造(出光佐三)は身体が弱く、勉強もできず、目も怪我して弱視の子供で、ノイローゼのための夢遊病は40歳まで続くほどでした。(映画では子供時代は省略されています。)
弱視で本を読むのが苦手なため、考え抜くことでそれを補おうとします。
親の反対にも負けず進学したのも、勉学することでそんな自分に負けずに生きられるようになりたかったからです。
商業学校に進学し、ボート部、弁論部、勉強でも良い成績をとりたくましくなります。(実話ではこのときから既に、理論的に先生に反論するため、先生から問題児扱いされていました。)
神戸高商(現 神戸大学)に進学して尊敬できる師の教えをうけ、生涯を通した指針(社員を家族のように扱う、大地域小売主義)を得ます。
また、家庭教師の仕事先の日田から絶大の信頼を得て、その数年後の創業資金を得ることになります。
国岡商店(出光商店)は創業から、何度も危機を迎えます。
国岡の絶大な人徳(社員からの信頼、銀行からの信用による追加融資)と、ぎりぎりまで考えられた戦略により、一見無謀にも思える困難を突破していきます。
(海上での経由の販売、満鉄でのメジャーとの機会油で戦い、イランからの自社タンカーによる石油の輸入等)
困難を乗り越え大企業を作り上げましたが、その根底には日本国のために尽くしたい。金の奴隷にはならないという信条がありました。
95歳でその生涯を閉じる直前に、最初の妻が子供ができないために自分から身をひいたのではないかときき、若い頃の写真を抱えて泣きます(映画では)
感想
男は、自分の信ずるところに忠実に生きることでしか、真の喜びも、真の仲間も、真に偉大な仕事もないのではないかと、思わされる内容でした。
海賊と呼ばれる男は虚弱な子だった。
乱暴でも、粗雑でもなく、むしろその逆の男で、家族思いで、傾いた家業から離散した家族を集めて一緒に暮せるようにするためが、独立を急がざるを得ない理由でした。
懸命に頑張っても、赤字が続き、恩人である日田(不思議なことに彼は実名で登場してます。)からもらった大金を使い切ってしまいます。
既存の業者の商圏に入り込むのが困難だったためです。
ですから、海上で経由をポンポン船(熱玉を使った2サイクルエンジンの船)に売ることに活路を見出します。海上なら陸の商圏に縛られない。そこにしか活路を見出しえなかっただけで、苦肉の策だったはずです。
そのあとも、生きていくために、会社を生かすために、家族のように思う社員を生かすために、戦後は、日本国民を生かすために、そういう公共精神を強くもって生きることに、誇りをもって生きて来た人なのですが。
それは羨ましいほどのやりがいと尊敬を得るとともに、想像を絶するほど辛さがあったはずです。絶対に負けられない戦いに、わずかでも、自分の考えのミスがあってはならないという、真剣勝負の緊張感から離れられなかったと思うのです。
国岡(出光)の無謀にも思える、行動の背景には、無謀でも負けないために、彼が子供時代から自分の弱視を補うために考えつくしてきたように、自分の無謀を補うための思考が尽くされてきたはずです。
そうでなければ、これだけの冒険的な勝負を繰り返して、破綻しないですんだことの説明がつかないように思うのです。
もう一点は、国岡の至誠の心が銀行家や資産家をすら動かしてお金をださせたこと、社員が彼の思いを汲んで、海軍もあきらめたまま放置された石油タンクの底をさらうという仕事につながったということです。
自分の苦労に報いるだけの、男冥利に尽きる人生を全うした見事な生涯だったのだろうと思いました。
評価
涙の量は「Always 三丁目の夕日」以来
監督が同じ山崎監督ということもありますが、全く違う題材でありながら、三丁目の夕日にとても似た感情となり、涙で心が洗われるような効果がありました。
映画館でも、特にラストのシーンでは、多くの観客が涙を抑え切れなかったようで、その雰囲気が溢れ、鼻をすする音がきこえてきました。
傑作です。
山崎監督の今までの作品が好きな人は間違いなく感動すると思います。
山崎貴監督作品
寄生獣
STAND BY ME ドラえもん
永遠の0
ALWAYS 三丁目の夕日’64
フレンズ もののけ島のナキ
SPACE BATTLESHIP ヤマト
秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE 3
BALLAD 名もなき恋のうた
K-20 怪人二十面相・伝
ALWAYS 続・三丁目の夕日
ALWAYS 三丁目の夕日
ReturnerReturner
ジュブナイルジュブナイル
エコエコアザラクIIエコエコアザラクII
モデル
出光佐三がモデルで別名で登場しますが、彼に創業資金を差し出してくれた日田は小説では日田のまま登場します。映画では木田となっていました。
彼が創業した、国岡商店のモデルは出光商会で現在
出光興産は現在は上場企業
概要は以下のよう担っています。(会社のHPより)
物語の中では、外資との資本提携を頑なに拒否して戦い続けていますが、現在の四季報でも、昭和シェルとの合併に創業家が強く反対して難航していると書いてあります。海賊の血が今も続いているんですね!!!
商号 | 出光興産株式会社 |
本社 | 〒100-8321 東京都千代田区丸の内3-1-1 |
代表取締役社長 | 月岡 隆 |
設立年月日 | 1940年3月30日(創業1911年6月20日) |
資本金 | 1,086億円 |
売上高 | 3兆5702億円(2015年度) |
従業員(連結) | 9,203名(2016年3月末現在)※臨時就業者を除く |
- 石油精製並びに油脂製造、販売
- 石油化学製品の製造・販売
- 石油、石炭、地熱、その他鉱物資源の調査、開発並びに採取
- 農業薬品、農業用資材並びに化学薬品製造業
- 電子機能材料の開発、製造および販売
- 各種化学工業用および環境保全用機械設備・機器の設計、施工、製作および売買
- 不動産の売買、賃貸借、管理
- コンピューターソフトウェアの開発、販売およびコンサルティング
上映館
イオンシネマ、TOHOシネマ、MOVIX、テアトル それぞれの系列で最初から非常に多くの映画館で上映されています。新宿は映画館多いのでテアトル新宿は敢えて上映してません(この世界の片隅にを継続するからかもしれませんが。)
キャスト
国岡鐵造 – 岡田准一
国岡ユキ – 綾瀬はるか
東雲忠司 – 吉岡秀隆
長谷部喜雄 – 染谷将太
武知甲太郎 – 鈴木亮平
柏井耕一 – 野間口徹
藤本壮平 – ピエール瀧
甲賀治作 – 小林薫
国岡万亀男 – 光石研
盛田辰郎 – 堤真一
木田章太郎 – 近藤正臣
鳥川卓巳 – 國村隼
須田邦裕
黒木華
飯田基祐
矢島健一
小林隆
浅野和之
ロケ地
京都府北部
舞鶴赤れんがパーク(舞鶴市北吸)
田井漁港(同市田井)
小天橋・葛野浜(京丹後市久美浜町湊宮)
グンゼ綾部本社(綾部市青野町膳所)
加悦SL広場(与謝野町滝)
主題歌
サウンドトラックもありますが、圧倒的な存在感が
この映画のために作られた、この歌です。
国岡商店社歌
わざとちょっと泥臭く、仲間意識、連帯感が高まりそうな皆で歌いやすい歌で、この歌を、社員同士で重要な場面で歌って盛り上がることで、とても楽しそうな、困難にも負けない雰囲気をかもし出してきています。
原作 百田尚樹
マスコミに彼の極端に思える発言を取り上げられることがあるので、私は誤解していました。見事な物語の作者です。(ベストセラーを連発しているから当然ですが。)
物語の最初から読者をひきつけ、これだけ長い上下2巻900ページにも及ぶ量でも夢中で読ませる力量は素晴らしいです。
人物を描ききることの巧みさには、例えば、主人公が弱気な子供だったことや、強気な大人であることで驚かせて振ってきました。
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